ChatGPT生みの親サム・アルトマンの投資リスト
YC史上初となる最も収益性が高いスタートアップ企業ランキングを解読!
ChatGPT生みの親サム・アルトマンの投資リスト
YC史上初となる最も収益性が高いスタートアップ企業ランキングを解読!
YCスタートアップ講座
ジェネレーティブAIの爆発的な普及を受けて、NVIDIAの株を買わなかったことに日々悔やんでいる人も少なくありません。しかし、実際ChatGPTの生みの親であるサム・アルトマンは、2020年のOpenAIに全力を尽くすまでの約6年間、世界で最も成功したスタートアップアクセラレーターであるYCを率いてきました。この時期彼が積極的に行った投資については十分に調査する価値があります。もしかすると未来の「NVIDIA」や「OpenAI」のような企業が、すでに登場する準備を進めているのかもしれません。
Y Combinatorが数ヶ月前に「YC初の最も収益性の高いスタートアップ企業リスト」を発表しました。YCコミュニティの中で、2022年の一年間を通して最も高い純利益を実現する企業50社がリストアップされています。AirbnbやStripe、DoorDashなどおなじみの名前だけではなく、まだ2、3年しか経っていない新鋭も数多く含まれています(完全版リストについては記事下部を参照)。
この50社のうち、およそ半数はアルトマン氏がYCを率いていたころに選ばれました。そのため、将来最も有望なテクノロジー企業に対するアルトマン氏の投資リストとも言えます。YC の卒業生である MixerBox は2014 年に選出され研修を受けた経験から、このリストの内容に非常に興味を持っています。
(Photo by Brian Ach/Getty Images for TechCrunch)
昨年この50社は合計で500億ドル以上の収益を創出し、約6兆5千億円に相当します。(決算書が公開されている一部の上場企業を除いて、YC はランキング上のどの企業においても具体的な収益について明らかにしていません。これらの数値は機密情報であるためです。)
ランキング上位企業のその他主要な統計データ:
- これらの企業は2022年の総売上が500億ドルを超えると考えられている
- これらの企業は合計400億ドルを調達、総額は4,000億ドルにのぼる
- この分野には15社(30%)が参入、うち12社はすでに上場
- この50社で合計7万人以上を雇用
- 従業員の74%がリモートワークを選択可能
- 70%がベイエリアに事務所を構える
- 22%がアメリカ外に事務所を構える
- これらの企業の大半は2人(55%)または3人(32%)の共同創業者によって設立
- YCの新メンバーはWhatnot(W20)、Deel(W19)、Nowports(W19)の3社
- S12において出現頻度が最も高いのはBenchling、Coinbase、Instacart、SmartAsset、Zapier
- W12、W14、W15はそれぞれ4社で2番目に多い
当然のことながらランキング上位の企業の多くは、創業から10年以上経過しており、Airbnb、Stripe、DoorDash、Reddit、Dropbox、Coinbase、Instacartなども含まれています。今年最も驚くべき企業はDoorDashと言えるでしょう。2020年にIPOしたばかりのDoorDashがアメリカ本土でのシェアがなんと60%を超えてUber Eatsを抜き、アメリカの外食デリバリーサービスの覇者になりました。さらにAirbnbのQ1とQ2の業績は市場予想を上回り、株価は今年に入って44%上昇しました。
(Source: YC)
どうやって3年以内にYCで最も収益性の高い企業になるのか!?
ベテラン企業が上位にランクインする理由はシンプルで、企業で培ってきた期間が長ければ長いほど、安定した収益性を確立するために十分な時間が存在するからです。しかし、かなり新しい企業が何社も参入しているのも事実です!(最近3年以内にYCを卒業したばかりの企業も上位に入っています)これらの企業の中には、将来の「NVIDIA」や「OpenAI」のような企業が潜んでいる可能性が高いと言えます。
その一例が2016年に設立され、同年にYCに選出されたScale AIです。Scale AIは人工知能の開発を加速させるデータ・インフラを構築する会社です。最初Scale AI は自動運転を支援する機械学習モデルを訓練するためのデータのラベル付けを主な業務としていました。現在、OpenAI、Meta、Microsoft などの企業が、モデルのトレーニングに活用できる、より多くのデータ微調整ツールが開発されています。
またYCは最近 3 年以内に卒業したばかりの若い企業にもインタビューを行い、現在何をしているのかという詳細や、次のステップについて直に情報を得ました。
Deel(W19)、統合された人材プラットフォームがグローバル人材を効率的に管理します。
Deel 共同創業者 アレックス・ブアジズ:われわれは世界中で採用活動を行っている企業のために、世界初のグローバル人事ソリューションを構築しました。規模を拡大したい場合やグローバルに展開したいとき、Deelはあらゆる場所であらゆる人材を採用することができます。これまでの人事は真のグローバルサービスとは言えないため、真のグローバルサービスを提供する初めてのソリューションになることを目指しています。過去数年間で最も誇りに思うことは、グローバルな雇用、税制、福利に関するすべてのデータを集約したことです。
現在ナイキやカナダロイヤル銀行のような大企業から小規模企業まで、約20,000社以上の顧客を持ち、ご希望の従業員の種類(請負業者、従業員、グローバル拠点所属の従業員給与など)に応じて、毎月従業員1人あたりの一定金額を請求します。
当社の考えとしては、一緒に働きたいと思っている特定の人物と皆さんをDeelのプラットフォーム上でつなげることです。その方はビザもしくはその他の支援を必要としている可能性があり、われわれがこの問題を解決します。そしてDeelがあれば(出身国に関係なく)あらゆるタイプの従業員を1か所に集めることでき、企業が存続し成長できることに気付くでしょう。
Whatnot (W20)、トレーディングカード、スニーカー、ファッションなどの商品を、ライブ動画配信で売買するショッピングプラットフォーム。
Whatnot 共同創業者 グラント・ラフォンテーヌ:Whatnot はライブコマースとオンラインマーケットの両方を兼ね備えたプラットフォームです。 2人の共同設立者自身がコレクターであり、求める取引プラットフォームに出会えなかったことが、最初の起業構想のきっかけとなりました。
当初Whatnotチームは収益を重視しておらず、追求すらしていませんでした。代わりに売上高や購入者・販売者の継続率などの指標を最も重要な指標としていました。しかし規模が大きくなるにつれて、ビジネスの健全性がますます重要になってきます。すべての販売に対して損失が含まれているか?このビジネスは長期的に拡大可能か?GMV、収益、貢献率、粗利は、現在 Whatnot が最も重視していることかもしれません。
最も人気がある分野とは?
全体的にYCは上位 50 社の企業を 6 つの主要分野に分類しています。それぞれ、B2Bソフトウェアとサービス(50%)、消費者(22%)、金融テクノロジーとサービス(18%)、ヘルスケア(6%)、産業(2%)、不動産と建築(2%)です。
明らかに「B2Bソフトウェアとサービス」が半分以上を占めています。後続の「消費者」「金融テクノロジーとサービス」「ヘルスケア」の3分野には、2C向けの製品やサービスが含まれている可能性もありますが、合計比率はB2B分野を下回っています。これは現在シリコンバレーの起業家と投資家がこの分野をどれほど重視しているかを示しています。
(Source: YC)
YC がなぜリストを公開するのか?
YC がこのリストを発表した理由は、実は非常に重要なメッセージを伝えるためです。
YCは公式ブログで新規事業がどのようなことを重視すべきかを強調し、意欲的な起業家を励ますために、初めて営業利益上位 50 社リストを作成して発表したと述べています。リスト内の企業は、すべてYC の有名な研修を受けており、2022年に最高の営業利益を達成しました。
新規事業は短期間で急成長することを目的としているため、収益は成長を測る上で最適な指標になります。何を成し遂げるべきかを明確にすることで、効果的な行動に導くことができるということです。昨今の不安定な経済環境において、資金調達や評価額はますます慎重に評価されるようになっています。このような状況下では、新規事業が成功しているかを測る明確なものさしとして収益は最も注目すべきです。
【YC史上初の最も収益性の高いスタートアップ企業のランキング】
(Source: YC)