シリコンバレー発!2024年に注目すべき5大スタートアップトレンド
シリコンバレー発!2024年に注目すべき5大スタートアップトレンド
YCスタートアップ講座
アメリカのシリコンバレーにある、世界初のスタートアップアクセラレーターであるY コンビネータ(略称YC)は、2024年度プログラムにおいてのトレンドについて語りました。
2024年度においては、2万7千件の応募の中から1%未満である約260社が選出されました。
今年度の研修は例年と異なり、参加する約170の新興企業の70%、つまり約120社が、AI分野に特化しています。
4年前の2020年と比べると、AIという名称はまだ一般的ではなく、機械学習(マシンラーニング)と呼ばれていた当時、AI関連の開発を行っていた新興企業はわずか8%に過ぎませんでした。
さらに、2024年度生の受講者は若年化の傾向にあり、2020年の平均年齢は30歳でしたが、今年は26歳まで下がりました。中には、学業を一時休止し、起業に専念することを選択した受講者もいます。
YCのパートナー(起業家のYCメンター)が、なぜ学業を先延ばしにしているのかと尋ねると、受講者はAIの隆盛は一生に一度のチャンスであり、逃せば二度と訪れないかもしれないと答えました。

2024年度に多くのAIスタートアップ企業が存在する理由はいくつか考えられます。
YCがAI分野に対して特別な思い入れがあるからでしょうか?
YCの会長であるギャリー・タン氏は、Yコンビネータが世界で最も優秀な起業家たちに投資しており、同時に多くの優秀な起業家たちがAI分野での起業を選択していることが、AIスタートアップ企業増加の背景であると述べています。
トップクラスの起業家たちが、AIと大規模言語モデルは各業界のポテンシャルを引き出すと認識しており、この変革の波は始まったばかりです!
AIは、かつてないほどの変革をもたらす足がかりであり、90年代インターネットがスタートアップ企業に無限の可能性をもたらし、2000年代スマートフォンが数え切れないほどの機会をもたらしたように、AIは現在も進行中の大きな転換点と言えます
MixerBoxは、2014年にYコンビネータのアクセラレータープログラムに選出され、AIの概念がまだ初期段階だった頃から開発に取り組んでいます。
YCとMixerBoxのAIに対するビジョンが一致しており、この変革は始まったばかりであると考えています。大企業もスタートアップも、AIへの理解度がほぼ同じであるため、誰においても平等にチャンスがある競争を生み出し、われわれの理念である「Remix Possibilities」を実現する原動力にもなります。
YCのパートナーたちは、以前何度かのプログラムと比べて2024年度は、ビジネス向けSaaSソリューション(B2B SaaS)に特化したコンセプトよりも、直接消費者向けのコンセプト(Consumer Ideas)が増加していることに気付きました。
消費者向けのコンセプトとは、たとえば旅行プランの手助けや、友人や家族と食事する際に簡単に割り勘できるソフトウェアなどが該当します。
開発者にとって、多くの消費者向けソフトウェアのアイデアは、身の回りの経験や個人的なニーズから生まれ、「こんなものがあったら便利だ」という思いから開発されます。
確かに身の回りの経験や個人的ニーズから生まれるアイデアは素晴らしい出発点ですが、同時に「自分にとって便利」という考えが必ずしも「誰にとっても便利」であるとは限らず、利用者不足という問題に直面するかもしれません。
YCの第1回においては、スタートアップ企業の80%以上が消費者向け製品を開発し、2005年から2012年までの間、新規事業の方向性が消費者ニーズへの対応が主流であったため、多くの優れたアイデアはすでに開発済みとなり、その後多くの新規事業が商用製品へと転換する要因の一つとなりました。
MixerBoxは、誰もがテクノロジーの恩恵を簡単に享受できるよう、消費者向け製品の開発に常に注力しています。
この分野で成功を収めるためには、様々な困難を乗り越えなければならないことを、身をもって経験してきました。迅速かつ幾度となく実験を重ねることで今日に至っています。
MixerBoxが目指している方向性は、AIによって人々の生活がより便利になり、テクノロジーをより簡単に活用できる方法を考え出す機会を増やすことです。
YCから以下のような重要なポイントについても紹介されました。
1️⃣ 開発者ツール市場のトレンド:ゴールドラッシュにおいてシャベルを販売するように、開発者向けツールの開発に注力するスタートアップ企業が増加。
2️⃣ 2024年度の創業家の99%はエンジニア出身であり、2020年の比率は88%でした。
3️⃣ テックカンパニーもしくはハイテク企業への転換は、製品が技術主導なのか業界サービス主導なのかという違いにあり、テクノロジーを活用した企業の極端な例として、WeWorkが挙げられます。WeWorkのコンセプトは、ソフトウェア技術とは直接的な関係がありません。
4️⃣ YCは、米国以外の市場への投資を削減しています。2020年には国際スタートアップ企業が45%でしたが、2024年には25%に激減しました。つまり、2024年度は近年最も米国市場に特化した期になります。その主な理由は、米国がAI開発の最も重要な市場であるためです。
5️⃣ フィンテックのスタートアップ企業は減少傾向にある一方で、ビットコインの価値は過去最高値を更新し続けています。YCは今後、この分野のスタートアップ企業が増えることを期待しています。
シリコンバレーのスタートアップ企業における2024年のトレンドについて、以下のように考察をまとめました。
1️⃣ AIは私たちの生活に一層深く関わることになり、AIアプリケーションに早く慣れることで、いち早く優位性を得ることができます。
2️⃣ 理想を追い求めるうえで、年齢は障壁ではありません。年齢に関係なく、AIは誰もが公平に競争できる舞台を用意してくれます。
3️⃣ これからの競争は、世界規模で行われ、単一市場や地域市場に限定されるのではなく、あらゆる業界がグローバル市場に目を向ける必要があります。
注釈:Y Combinator、略称YCは、アメリカのシリコンバレーに拠点を置く世界初のスタートアップアクセラレーターです。 MixerBoxは2014年に選出され、YCのトレーニングに参加しました。