YCの心得とは
成功への道はすぐそこに
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YCスタートアップ講座
MixerBoxが音楽ストリーミングアプリで成功するまでに、19ものさまざまな製品の開発に挑戦したことをご存じですか?
MixerBoxは「テクノロジーを気軽に楽しんでもらう」という初心を貫きながら、市場に受け入れられる製品(PMF)を見つけるために、多くの失敗と方向転換を経験しました。
途中で方向転換するということは、これまでの努力が水の泡になり、失敗してしまったと考える人も少なくありません。
しかしスタートアップ企業に目を向けてみると、多くの起業家が会社や製品の方向転換によって、最終的に成功を収めていることに気づくはずです。今回はYCプログラムの参加者である3人の創業者がどのように方向転換によって成功したのか、その事例を皆さんにご紹介したいと思います。起業、職種の選択、夢の実現など、皆さんの参考になれば幸いです。
1. Brex :自分が得意なことをする
YCが輩出した、アメリカで最も若いユニコーン企業であるBrexは、創業者がブラジルでの高校時代に立ち上げたオンライン決済会社を売却し、現在は「企業向けクレジットカード」に特化しているスタートアップ企業です。
しかし多くの人が知らないのは、オンライン決済で起業したBrexがYCに申請する際には、VR(仮想現実)ゴーグルの開発を提案していたことです。
VRゴーグルの開発に必要な技術や経験はなく、当時としては斬新なプロジェクトをあえて選択したのは、より先進的で面白い起業に挑戦したいという気持ちがあったからだと考えられます。その後YCに加入してから約3〜4週間、多くのハードウェアの専門家と話し合った結果、自分たちが得意とするオンライン決済へ舵を切ることに決めました。
多くの賢人たちは常に「一山越えてさらに一山」を求め、自分にとってより挑戦的な課題を見つけ、それを克服することで自分の能力を証明したいと考えています。しかし挑戦的なことだけが常に最適な選択であるとは限りません。そのため、その数週間の些細な出来事がBrexにおける転機の決定打となり、今日のユニコーン企業としての基礎を築いたのです。
2. GOAT:自分が好きなことをする
GOATは当初、同じ街で見知らぬ人と食事をするためのウェブサイトとして設立されました。
サンフランシスコのような都市では、毎日多くの起業家や投資家が自分の生活圏を広げようとしていたため、このアイデアは当時かなり好評でしたが、実際にはあまり順調とはいえませんでした。
YCを卒業して約2年後、GOATは特別版もしくは限定版のスニーカー収集に関する深い知識があり、トレンドが徐々に高まっていることに気づきました。そこでGOATは元来の事業内容を完全に放棄し、スニーカー取引プラットフォームの開発に方向転換しました。
これは非常に劇的で大きな変化でした。
そもそも2015年という時代背景からすると今とは違い、スニーカーの売買がビジネスになり得るとは考えられていませんでした。
純粋に起業家自身の趣味から生まれる変化もあるということです。
あるいは元々の発想でうまくいきそうになければ、いっその事、思い切って自分が好きでかっこいいと思えるものに挑戦してみるのもいいのかもしれません。
窮地に追い込まれた創業者は、新たな着眼点によって本来のチャンスに気づくこともあります。
3. GoCardless:問題解決に向けて何ができるかを探し出す
YCチームメンバーの1人が、自身が経験した創業の転機について話してくれました。
2011年、彼は大学在学中に同級生と共に、グループ内で割り勘できるアプリ「Groupe」を作り出しました。当時の着想は、例えばサッカーチーム全員で食事に行った場合、誰がいくら支払うべきかを簡単に計算できるアプリがあれば、というものでした。
アイデアは豊富にありましたが現実は厳しいものでした。彼らは周囲の友人や同級生に使ってもらえるように説得をしましたが、利用し始めたとしてもすぐに離脱してしまうことが多かったのです。ターゲットとしている顧客にとって、その機能はあまり有用性を感じるものではなかったからです。
その後彼らはさらに2週間をかけて、毎日午前3時に起きて数百ものスポーツ協会に Groupeを売り込みましたが、最終的にたった1つの協会しか興味を持ってもらえなかったため、今こそ方向転換すべきだと悟りました。
自身のコアとなる能力や技術を再検討したところ、銀行間の商取引に関するシステムの開発に注力することを決めました。そしてターゲットは大学生やスポーツ選手ではなく、銀行に変更されました。
12年後企業名をGoCardlessに改め、数億万ドルの価値を持つ企業へと成長しました。
最も重要なことは人々がいま何に困っているのかを発見し、その課題を自分だけで解決できるかを判断することです。
バスケットボールで片足を軸足とし、もう片方の足で方向転換するように、YCがシェアしてくれた話の中にも同じような「転換」や「転向」の例を見ることができます。その変化の幅は大小さまざまですが、プロセスにおいて安定した軸が存在します。つまり安定と積極的な変化の相乗効果によって、成功のカギをつかむことができるということです。
2024年この新たな年の幕開けに、皆さまがより良い方向へと成長されることをMixerBoxは願っております。
参考元:
https://www.ycombinator.com/library/Iy-yc-s-group-partners-share-their-favorite-pivot-stories